古民家ツーリズムin 新潟〔前編〕
我が人生で、はじめてブログというものを始めます。
雑誌のコラムや著書では書ききれない、ちょっとした気づきや、感想を皆さんに肩の力を抜いて、毎週水曜日にお届けしていきたいと思っています。
観光立国の現場、インバウンドの現場、そして何気ない中村の日常を、これから皆さんに毎週水曜にお届けします。
先週末、実に久しぶりにプライベートな、“オフ旅”に出かけてきました。今回のテーマは、新潟の古民家と日本酒を味わう旅。古民家の宿だけを選んで二軒に、各一泊、合計二泊。
ふだんは仕事柄、日々これアジア各地と国内各地への業務出張ばかり。
たとえ、京都や飛騨高山や熊野古道など、名だたる観光地にでかけたとしても、出張中はやはり、どうしてもビジネス目線になってしまいがちです。
「もっとこうしたらいいのに!」とか、
「ここはこう改善すればもっとよくなるのに!」とか、
どうしてもゆったり楽しめない。
訪日客がいたら、おもわず彼らの活動もチェックしてしまいます。
私が連載している海外の旅雑誌の取材を兼ねていたりする場合には、写真の構図を考え、ショットチャンスを常に狙っていたりもします。
また、当然昼間は、業務中の身であるからには、お酒など飲めません。
ところが、今回のようなプライベートな旅は別だ。スーツも着る必要はありません。カジュアルな私服で、東京駅で新幹線に乗り込んだとたん、ビールをポテチとともに飲み始めました。
「あー、気持ちいい。そしてビールがうまい!」
オフの旅はやはり、いい。非日常。出張時は、しょせん日常。人間、やはりたまには非日常が必要なんだな。“旅人目線”ではなく、“旅人そのもの”になりきるのがいいのだ。
つくづくそう、思いました。
さて、初日は、新幹線の「越後湯沢駅」で降りて、
しばし、駅ナカと駅マエを探索。
想定外、あっつ、失礼。駅ナカが意外なほど充実していました。
なんと地元のお酒が100種類以上、利き酒できるすごい設備がありました。
500円でコイン5枚もらえます。
自販機のようにこのコインを入れると、渡されたおちょこで、好きなお酒が飲めるんです。
別料金にはなりますが、キュウリが1本100円。
何十種類の塩と、味噌が無料で選べます。
美味しい酒を飲み比べ。うーん、ぜいたく。新潟が酒どころだとは認識していたが、これほどとは、びっくり。
このあとは、JRの在来線に乗り換えて、「大沢」という鄙びた駅で下車。一泊目は、「里山十帖」という、ちょっと料金高めのラグジュアリーな古民家をベースにしたホテル。すでに送迎ワゴンが待機。優雅に宿に到着。
おそらく庄屋などの豪農の家を移築したのでしょう。風格と格式がある。客室は別棟となっており、快適なファシリティーが完備している。新潟(越後)を始め、豪雪地帯の民家の柱も梁もでかくて立派でした。宿のメインの建物は古い古民家そのもの。
なぜでしょうか?宿の方に聞いてみました。
「なにしろ、冬には雪が3メートルも積もるんです。やわな柱や梁では家が押しつぶされるんです。」
なるほど。たしかに、母屋の上を見上げれば、確かに素晴らしい木組みの構造が見えました。これだけでも一見の価値あり。
夕食は、地元産にこだわった料理のコースを堪能。料理とのマリアージュを考えた日本酒とワインが次から次に出てきました。
おお、すごい。
ところで、この日のディナーのメインディッシュは何だったと思いますか?
それが、なんと、土鍋で炊いた“ご飯”だったのです。
肉でも魚でもなく、ご飯がメインディッシュ。
さすが、米どころ新潟。考え方がいい。
炊き立てのご飯を、よくかみしめて、味わいました。
たしかに、うまい!!
二日目の朝食は、豪華だけど、あっさり。まずまずの味。
さて、初日の宿の満足度は、うーん、値段の割には、まずまずといったところ。
仕事柄、どうしても辛口になるなあ。古民家の活かし方、おもてなし(ホスピタリティ)レベルは、まだまだ課題あり、という感じですね。インバウンド対応レベル、うーん、やばいかも。
この日は、この後、宿の送迎ワゴンでJRの大沢駅に戻り、六日町駅に移動、ほくほく線に乗り換えて「まつだい駅」で下車。
地元の農家で、民宿を4軒営み、同時にどぶろくの免許を日本で初めて取得した若井さんという方に会うことに。
興味深い話をたくさん見聞しました。二泊目の宿も素敵な、そしてもっともっと本格的な古民家。
続きは、次回。お楽しみに。
どうか、今後ともよろしくお願いします。
〔後編に〕