観光立国見聞録!中村好明オフィシャルブログ

中村の講演情報や哲学、思想、最近の活動や思う事について、徒然と綴らせていただきます。

古民家ツーリズムin 新潟 第三回〔完結編〕

 

 

二泊三日の旅、最終日のお宿は

古民家の宿、欅苑(けやきえん)さん。

http://www.keyakien.com/top.shtml

 

JR上越線の「五日町駅」下車。

駅前はまったく何もない。

無人駅

駅舎も大きいし、

駅前の広場も大きいので、

昔はそれなりに栄えたんだろうな、

っていう風情でした。

 

仕事で全国の地方鉄道を旅すると、

このような無人駅が

最近思いのほかほど多いですね。

一部の自治体や地域のNPOとかでは、

こうした無人駅を活用した、

地元産品の土産物屋なども

やっていらっしゃるところもあるけれど、

こうした無人駅を活用するための、

公的な、基本支援メニューが

必要なのではないかと思いますね。

 

生活者ではない、観光客目線でみると、

無人駅はやはりそれなりに

観光気分を下げちゃうものだと、改めて思いました!

 

地域のインバウンド戦略

地方創生戦略としては、

この無人駅対策はけっこう重要だと思います。

(現状は、けっして鉄道会社さんだけの

 責任なのではなく、

 地域社会全体で無人駅対策を

 考えるべきだと思います!)

 

そして、

ビジネスチャンスの視点からすると、

同時にかなりもったいないかも!

 

!たとえば、

☆彡 駅カラオケ、

☆彡 駅カフェ、

☆彡 駅の農産物直売所、

☆彡 駅のゲストハウス、

☆彡 駅の地産地消レストラン、

☆彡 駅のシェアオフィス、

などなど。

 

活用方法は無限大だと思います。

そして、切符販売や駅舎維持を鉄道会社が

地域に委託すればいいのでは?

(駅の利用者だけをあてにするのではなく、

 地域コミュニティの核にしたり、

 新たな観光コンテンツにしたりとか・・・)

集客と個々の経営上の課題(コストと収益)は、

一つ一つ克服していかねばなりませんが・・・。

 

さて、五日駅から欅苑までは、

タクシーで10分ほど。

駅にタクシーは待機してくれていません。

そういうお話だったので、

事前に地元のタクシー会社に宿を通して

予約してもらっておきました。

 

駅前には、

すでにタクシーの運転手さんが待っていてくれて、

ほっ。嬉しかったですね。

タクシーに乗ると、あっという間にお宿に到着。

 

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チェックイン時に、

笑顔が素敵な宿の女将さんに

お話を聞いてみました。

 

「この家は、代々、

 庄屋を務めていた、地域の豪農でした。

 築150年のこの屋敷を、

 維持するためにはたくさんのお金がかかります。

 それで1987年に宿を開業したんです!」

とのこと。

 

そう。

何かにチャレンジしないと、

古民家は維持できないんですよね。

(特に冬は雪対策にお金がかかる。

 そして、かやぶきの屋根のメンテナンスにも

 莫大なお金がかかるんですね!)

 

メインは昼と夜のレストラン。

(かならず前日までに電話予約が必要)

宿泊はオプションという扱い。

 

料理は女将さんご自慢の田舎料理。

これが、

チョー本格的

味はもちろん、

地元の旬の野菜、

屋敷の敷地内の菜園でとれたものを、

一工夫して素敵な膳と器で出していただけます。

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1泊目の「里山十帖」とは、

ちょっと、贅沢の方向が違いました。

 

建物の内部は、新潟の豪農の家そのもの。

里山十帖」の本館も、もしかしたら

こうした豪邸を移築したのでしょうか。

 

木組みの美しい梁と柱は漆が塗られてぴかぴか。

それが囲炉裏の煙に燻されて渋い光沢が美しい。

 

庭には、樹齢1500年とも

見積もられている大欅の樹が。

まるで神木のように聳えていました。

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インバウンドのお客様もいらっしゃいますか?」

と給仕中の女将さんに尋ねたら、

「海外のお客様は来られませんね。

 案内もしていないし。」

 

「あら、そうですか。もったいない!

 

おそらく、欧米を始め、

世界のお金持ちがここにきたら

感動するだろうな。

と思いました。

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宿泊棟は、庭先のロッジ。

古民家には、当然客室はないので、

別棟。

 

質素なロッジ。

旅館というよりは、

昭和のしぶいビジネスホテル。 

 

これは、事前に女将さんから、

「古民家本館には泊まれないですよ!

 くれぐれも誤解のないように!」

という丁寧な説明がされていたので、

ノープロブレム。

 

 

ぐっすり眠った翌朝は、

再び本館の個室でゆっくり朝食。

これも女将さんの手料理。

上品で美味しい。

食事のあとは、

ロッジでしばしくつろぎ、チェックアウト。

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最終日は雨。

女将さんは、雨の中、

こちらからその姿が見えなくなるくらいまで、

外で見送ってくれました。

 

女将さんには、

おもてなしがもう自然と身についていて、

いぶし銀

過不足のないおもてなしとは

このようなものだろうと思いました。

 

このあとは、

酒造会社「八海山」の雪室がある

醸造所を訪問。

なんと、欅苑から

徒歩7~8分。

目と鼻の先。

 

ここで美味しい日本酒を利き酒。

美味い

スタッフさんの頑張りもとてもよくて、

八海山のファンになりました。

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昼は、タクシーで移動し、

地元の某レストランで

地ビールとピザをいただきました。

 

うーん、

こちらは料理の味も、

設備も、ホスピタリティもちょっと・・・。

けっこう期待してたんですけどね・・・。

 

個性的な建物は素晴らしく、

コンセプトもいいのに、・・・・。

うーん、もったいない。

 

観光は物語(ストーリー)なので、

ほかがどれほど素晴らしくても、

たった一つでも、

その地域のほかの部分に大きな不足があると、

その土地全体の旅の印象において、

マイナスとして響きかねないんですよね。

 

観光は、地域連携が重要だと、

改めて実感しました!

 

 

あっつ、そろそろ時間だ。

レストランから再びタクシーに乗って、

無人駅の「五日町駅」へ。

ほかの交通手段はなし。

 

駅に到着。

無人駅はやっぱりちょっと、わびしい。

 

在来線を長い間待って、

隣の新幹線停車駅「浦佐駅」に移動して、

一路東京へと戻り、

この二泊三日『古民家の旅』

無事終了しました!

 

古民家ツーリズムin新潟

 

あっという間の、プライベートな旅でしたが、

収穫は大きいものとなりました。

日本中に、朽ちかけている古民家物件が山のようにあります。

 

これらを活用して、

どういうふうに活かすか

 

古民家そのものも大事だけど・・・。

それよりも、

地域全体の暮らし、文化、

歴史、食、そしておもてなし。

地域連携、官民連携、

二次交通対策、SNSなどでの発信

などなど。

全部のハーモニーが大事

 

課題は山積していますね。

でも、同時に無限の可能性がある

今回改めて思いました。

 

来週は、新しい次のテーマでお届けします。

内容はまだ、ひ・み・つです。

 

乞う!ご期待!!

〔完結編おしまい〕