インバウンド故郷紀行in唐津 〔後編〕
みなさん、こんにちは。
毎週水曜日更新の中村好明「観光立国見聞録」。
今週も、先週に引き続き、わがふるさと佐賀の唐津紀行をお届けします。
先週お知らせしたとおり、去る7月25日に、
「第三回おもてなしセミナー in からつ」が開催され、心躍らせて、私も登壇させていただきました。
会場となった300名を収容する大ホールには、たくさんのご来場者の皆さん。唐津市内だけではありません。佐賀県下各地から、熱心なオーディエンスの皆さんが大集結。
セミナーの最初には、イケメンの山口祥義(よしのり)佐賀県知事、
※写真は佐賀県山口知事
続いて、アレックス・カーさんの基調講演。
アレックスさんの本は全部読んでいる大ファンの私にとっても、やはりその講演内容は新鮮でした。会場の皆さん誰もが真剣に聞き入っていました。
同氏は、1964年、12歳の時に、家族と共に来日、それ以来50年以上、日本に滞在。
私は、1963年生まれ。
私がものごごろのつく前から、アレックスさんは、日本を知っていらっしゃったわけです。
日本人にとっては当たり前のことが、外国人の目線で見ると、当たり前ではありません。
氾濫する観光地の各種看板が景観を台無しにしている現状、コンクリートの河川護岸工事が自然景観を台無しにしている様子などを、様々な事例を交えて、ビジュアルに説明され、とても説得力がありました。
高度経済成長の中で、日本各地の伝統的な景観がどんどん、壊され、古き良き村や町の風景が劣化した。観光立国時代には、その失われた景観を取り戻す努力が絶対的に必要なのだという主張は、心に沁みました。
また、アレックスさんは、単なる評論家ではありません。同氏は、すでに40年前。大学生の時に、四国祖谷渓の古民家を買い取り、蘇生させた人でもあります。篪庵(ちいおり)という古民家です。その紹介も詳しく講演の中でなされました。私は、なんとこの週のうちに、四国高知での別の講演があり、その足で、この篪庵を訪問しました。
この空間そのものが芸術でした!
さて、この後は、私の基調講演。
そして、休憩をはさんで、いよいよ本日のメインディッシュであるシンポジウムの部。
アレックスさんと唐津焼第十四代中里太郎衛門さん、山崎信二唐津観光協会会長が、パネリストとしてご登壇。
私が、コーディネーターを務めさせていただきました。
唐津焼の窯元の中里さんのご発言で印象的だったのは、唐津焼を志す、若手の陶芸作家は、減るどころか、むしろ増えているという事実でした。年々全国からこの唐津を目指してくるとのこと。
全国の焼き物産地では、陶芸作家が減り、継承者不足が深刻だという話をよく聞きます。
唐津ではそうでない、ということは驚きでした。
山崎会長のコメントで私の心に刺さったのは、
「海の上からの唐津」
という視点でした。
同氏は、ご本業の化粧品のお仕事で、フランスやイタリアの事業者との交流があり、
「先日、欧米のお取引先を招いた際に、クルーザーで、唐津・呼子の海岸を巡るもてなしをした。すると、これが南仏ニースやモナコ以上の価値があると絶賛を受けた」
という話をされました。
※写真は美味しい、呼子イカの活き造り。
なるほど、玄界灘には美味しい魚介類が豊富にあり、船上から釣り糸を垂れれば釣果は凄まじい。美しい白砂青松の海岸をはじめ、変化にとんだ海岸線。
これは聞いているだけでも楽しそう!
3氏とのディスカッションが白熱し、あっという間に時間切れ。
自分自身もっともっと、皆さんの発言を聞きたかったぐらいでした。
とてもとても、当日の濃い中身の全部はつたえきれません。
唐津のセミナーレポートは以上です。
私にとってもじつに心に残るセミナーでした。
(ふるさとは、やっぱりありがたい!)
次回は、8月10日にお届けします。ご期待くださいませ!