観光立国見聞録!中村好明オフィシャルブログ

中村の講演情報や哲学、思想、最近の活動や思う事について、徒然と綴らせていただきます。

熊本地震 被災地応援視察レポート 〔後編〕

みなさん、こんにちは!

毎週水曜日にお送りしております、

中村好明の「観光立国見聞録」。

 

さて、今回は先週に続いて、

熊本地震 

 被災地応援視察ツアー〔後編〕」

のレポートをお届けいたします。

 

熊本城、益城(ましき)復興市場を後にした

私たち観光政策研究会のメンバーは、

4月14日と16日に発生した熊本地震において

被害が一番大きかった

益城町の役場を訪れました。

 

 

被害を受けた役場の建物は、

立ち入りが禁じられている状態。

役場職員のみなさんが

プレハブの仮事務所で

慌しく業務に追われていました。

そんな中、貴重な時間を割いていただき、

私たち訪問団を

町内で一番被害の大きかった場所に

案内してくださいました。

f:id:inboundnakayoshi:20160928104910j:plainその場所で、また私は言葉を失いました。

私たちの目の前には、まるで

「町全体がなぎ倒されている」

と表現できるほどの

想像を絶する光景が、広がっていたのです。

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倒壊した家屋、亀裂の入った道路。

テレビなどの報道からはでは

感じ取ることのできない凄まじさを全身で感じ、

震えが止まらないほどでした。

 

続いて私たちは、

県内最大級の仮設住宅団地である

益城町テクノ仮設団地」

を訪問しました。

県内16の市町村にある106の団地のなかで、

最も大きな仮設住宅団地です。

 

プレハブの無機質な住宅ではあるものの、

熊本の県産の木材が各所に用いられ、

日本最大のイグサの産地である熊本らしく、

青畳が各住居に敷かれていました。

特に高齢者の方には、

この木の香り、

イグサの香りが和みとなります。

 

また、東日本大震災での

仮設住宅での経験知に基づき、

遮音機能付きの壁や、

結露防止のための

二重サッシなどが採用されていました。

 

さらに、プレハブの軒先には庇がつけられ、

縁側で隣人と話ができるような

細かな配慮もされていました。

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f:id:inboundnakayoshi:20160928105055j:plainまた、こうしたハード面だけではなく、

心のケア、デイサービス、

子育て支援なども行われているのだそうです。

 

日本は、過去の地震から得た経験を

次に活かしているのだと、

改めて関係者の努力に頭が下がりました。

 

 

 

小雨降りしきる中、

続いて私たちは

阿蘇地域に向かいました。

国道57号にある

阿蘇大橋」の崩落現場の視察です。

f:id:inboundnakayoshi:20160928105124j:plain崩落した道路と橋の現場は、

まさにハリウッドのSF映画さながら。

進むべき道路の先が突然無くなっているのです。

大自然の途方もない力に、ただただ圧倒されました。

f:id:inboundnakayoshi:20160928105301j:plainしかし、それと同時に、

九州地方整備局をはじめとする

復旧工事関係者のみなさんが

その大自然に立ち向かい、

1日でも早い復旧を目指している姿を拝見して、

頼もしく思いました。

 

この土地は火山灰質のため、

地面がどろどろのぬかるみとなり、

度重なる降雨によって

重機が沈み込んでしまうこともあるそうです。

また、余震によって

山上からの土砂が崩壊する

可能性もあるのだそうです。

そのため、復旧作業は

遠隔操作される重機によって行われていました。

現場のみなさんの情熱と

テクノロジーを駆使した復旧作業に、

感謝と尊敬の念を抱きました。

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そのあと私たちは、

熊本の大西一史市長をはじめ、

地元の官民のみなさんとの意見交換会に参加し、

熊本地震への対応やその苦労話、

復興のビジョン等について

意見・情報を交わしました。

市長のリーダーシップと

熊本のみなさんの明るい笑顔に、

こちらが励ますつもりが、

かえって励まされてしまいました。

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今回、

武井俊輔外務大臣政務官

南薩観光の菊永社長を始め、

様々な関係者のご尽力によって

被災地を訪れる機会を与えていただき、

熊本のみなさんが

今回の地震で受けられた苦難の数々を

直接見聞させていただき、

また、みなさんが

果敢に自然災害に立ち向かっておられる

強さを感じることができ、

生涯忘れられないほどの

深い気付きと学びがありました。

 

 

みなさん、本当に

ありがとうございました。

 

 

さて、

来週は九州佐賀ふるさと紀行第二弾といたしまして、

「佐賀・鹿島の旅」のレポートをお届けします。

ご期待下さい!

 

熊本地震 被災地応援視察レポート 〔前編〕

みなさん、こんにちは!

今週は木曜日のお届けとなってしまいました、

中村好明の「観光立国見聞録」。

 

さて、今回は

前回予告しておりましたとおり、

熊本地震 被災地応援視察ツアー」のレポートを

お届けいたします!

 

9月12(月)、雨降りしきる熊本空港に降り立った「観光政策研究会」の皆さんと共に、

九州運輸局の伊地知(いじち)観光部長をはじめとする地元の方々と合流。

大型バスに乗って熊本城へ移動しました。

奇跡的に雨も上がり、九州地方整備局ならびに熊本城総合事務所の計らいにより、

熊本城の城内をヘルメットをかぶって案内して頂きました。

 

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すでにテレビなどの報道で

熊本城の損害の大きさは知っていたつもりでしたが、

その被害状況を目の当たりにして、思わず息を呑みました。

 

全て復旧するまでには

20年以上の歳月がかかるという説明を受け、

改めて驚いたと同時に、その損害の大きさを思い知りました。

 

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 日本のお城の中でも、

私がとりわけ大好きな熊本城の

傷ついた、痛々しい姿を見て、

思わず涙がこぼれそうになりました。

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九州地方整備局、熊本城総合事務所、

そして工事関係者のみなさんの

修復に向けてのご苦労をお察しいたしますと共に、

これからのご努力に心から期待をしたいと思います。

 

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続いて私たちは、熊本市内から隣接する益城町に移動。

益城復興市場」を視察し、

「まちづくり益城」の熊宮代表理事(写真の半そでのポロシャツの方)

から、説明を受けました。

なんとこの市場は、東日本大震災の教訓をもとに、

4月の被災からわずか2ヶ月半で立ち上がったそうです。

 

通常、再建のために「建造物」を建てようとすると

8~9ヶ月はかかってしまうものなのだそうですが、

この益城復興市場は、大型のテントを活用することにより

わずか2ヵ月半というスピーディーな設営が可能になったのだそうです。

  

震災後、復興が遅れれば遅れるほど

明日生きるためのお金を今日稼がなければならない小資本の商業者の皆さんが

町からどんどん流出して、

町が縮んでいってしまうという危機感から

みんなで知恵を絞って、短期で開設可能な

この大型テントという形を選択したのだそうです。

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一刻も早い復興で

町の衰退を食い止めようとしておられる

その姿に感動を覚えました。

そうやって造られた復興市場で、商店主の皆さんたちが

今まさに

もう一度お店を建て直す資金を稼いでいるのです。

 

みなさんの知恵と、

希望を失わない強い意志に

深い感銘を受けました。

 

 

 

熊本で出会った方々との触れ合いの中で語るべき話題は尽きませんが、

今週の報告は以上となります。

 

続きは来週、

熊本地震 被災地応援視察レポート 〔後編〕」

でお届けしたいと思います。

ぜひご期待下さいませ!

 

 

全国高等学校観光選手権大会 ~日本の観光、インバウンドの未来を力強く感じた日~

みなさん、こんにちは!

中村好明の「観光立国見聞録」、

毎週水曜日にお送りしております。

先週は出張のためお休みさせて頂きましたので、

2週間ぶりの投稿となります。

 

さて、今回は前回予告しておりました、

神戸ハーバーホールで開催された

「全国高等学校観光選手権大会」の模様をお届致します。

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神戸はご存じのように、

150年前の開港以来、

異人を受け入れてきた「観光の町」です。

南京町では修学旅行生を始め、

国内外からたくさんの観光客で

にぎわいを見せています。

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 「全国高等学校観光選手権大会」とは、

今年、この港町神戸からスタート。

4月1日の募集から、

北は北海道、南は鹿児島まで、

地域発「体験型観光プログラム」を募集し、

全国62校113プランの応募がありました。

 

会場となった神戸ハーバーホールには、

全国から予選を勝ちぬいた8校が集結し、

最終決戦の火ぶたが切って落とされました。

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 私はこの決戦の審査員、

そしてシンポジウムのパネリストとして、

参加させて頂きました。

高校生といっても、決して侮ってはなりません。

さすが決勝と言わんばかりの、

おとな顔負けの素晴らしいプレゼンテーションに、

終始とても驚かされました。

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グランプリの観光庁長官賞を

見事勝ち取ったのは

京都府立桂高等学校

「ほんまもんの和食素材を

 世界へ発信!

 伝統野菜が繋ぐ京の歴史と

 食文化の再発見」

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金賞には青森県立名久井窯業高等学校が入賞。

いずれの発表も甲乙つけがたく、審査がとても大変でした。

 

その中でも私が特に印象に残ったのが、

兵庫県代表 県立生野高等学校の

「朝来で暮らす3日間の旅

 ~地域とつながる

  田舎体験プラン~」

というプレゼンテーションでした。

 

地域のお祭りを通して、

その地域に移住者を呼び込み、

定住人口を増やすというもので、

登壇者は統一されたユニフォームではなく、

それぞれ自分の町の法被を来て参加しており、

郷土愛に溢れる姿に感銘を受けました。

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優勝こそ逃しましたが、

定住者を呼び込むというアイディアは、

観光というものを、

レジャーという事だけでなく、

広い概念として捉えた新しい視点であり、

彼らが彼らの地域の事を

本気で考えた結果であると、

大変印象に残った発表でした。

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その後開かれた交流会では、

高校生諸君が駆け寄ってきてくれ、

若く、キラキラしたパワー溢れる瞳に囲まれながら、

日本の観光、そしてインバウンドの未来を力強く感じました。

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高校生諸君、本当にお疲れさまでした。

そして感動をありとう。

近い将来、彼らの活躍を見るのがとても楽しみです。

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さて、来週は、

南九州熊本を始めとする

被災地応援ツアーの様子をご紹介いたします。

ご期待ください!!

 

四国旅日記 〔番外編〕 「瀬戸内国際芸術祭2016」直島(なおしま)へのアートな旅

みなさん、こんにちは。

                                              

毎週水曜日更新の

中村好明「観光立国見聞録」。

 

さて、先週予告したとおり

今週は、四国の旅の番外編。

 

「瀬戸内国際芸術祭2016」

直島(なおしま)へのアートな旅

のレポートをお届けします。

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祖谷(いや)渓谷を後にした私たちは、

高松市内に移動。

ヨットでの優雅なクルージングを楽しんだ後、

美味しい瀬戸内の海の幸を堪能して、

ぐっすり安眠。

 

その翌日は、早起きして高速船で、

「直島(なおしま)に向かいました。

高松の連絡船ターミナル前には、

すでにアートなオブジェが、

ずらりと並んでいました。

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雲ひとつない青空の中、

アートなオブジェが、どーん。

圧巻でした。

瀬戸内国際芸術祭(Setouchi Triennale)は

2010年以来、3年に一度開催されているそうです。

今年は、その3回目。

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“世界中からのインバウンドの人たちで、

 盛り上がっているらしい。”

 

その噂を聞いて、

いつか来てみたいと願っていたため、

今回の旅でこれが思いがけず実現できて、

とっても嬉しい。

やったー。

 

今回の旅で、

改めてツーリズムにおける、

そして地方創生における、

 

アートの力、

アートの可能性

を強く、強く感じました!

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芸術は、

日常的なものを、非日常ないし、

異日常に転換してくれます。

 

一つの魔法(マジック)なのですね。

 

直島(なおしま)に向かう高速船は、

ぎゅうぎゅうの満杯。

欧米系を中心に、アジアの人々、

日本国内からの人々で溢れかえっていました。

 

さすが、高速船。

昨日のヨットとは違って、すいすい、

あっという間に、直島のターミナルに到着。

 

町営バスに乗り換えて、

ベネッセアートサイト直島

を訪問。

 

現代アートを堪能すると共に、

施設内のカフェでパスタを食べながら、

瀬戸内の海を眺め、

しばしリラックス。

うーん、いいですね!

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まるで、絵葉書のような風景を眺めながら、

至福のひととき。

美術館と宿泊施設が複合しており、

アート三昧の滞在が可能となっています。

欧米人の親子が、

庭先でゆったりとした時間を過ごしていました。

 

浜辺では、アートではなく

海遊びする人々もそれなりにいて、

アート一辺倒でないところが、

逆にいい感じだと思いました。

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もちろん、

アート一辺倒の人もいて、

これはこれでいい感じした。

 

草間彌生(やよい)さん作の

南瓜のオブジェも人気。

欧米系の人が、

灼熱の太陽のもと、

熱心に写真を撮っていました。

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草間さん。

凄いなあ。

世界の人が知っています。

 

ところで、みなさん。

草間さんのご年齢、知っていますか?

御年87歳1929年3月22日生まれ)

なんですね。

うわー。

 

ベネッセエリアから、

更にまた町営バスに乗って、

本村エリアに移動。

 

このエリアでは、

「家プロジェクト」

というアートプロジェクトが開かれていました。

 

このプロジェクトでは、

現在7軒の私邸が

有償で公開されています。

点在していた空き家などが

アートなセンスで改修されていて、

かつて人が住んでいた頃の時間に

触れて回れるのです。

このプロジェクトにおいては、

各民家の空間自体をアーティストが

作品化されているのです。

 

この企画はとても斬新ですが、

同時に今後どの街でも取り組める

好事例だと思いました。

欧米系の小グループが、

実に楽しそうに、

本村の集落を闊歩していました。

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アートと大自然を満喫した後は、

再び連絡船ターミナルに戻り、

帰りは大型のフェリーで

ゆっくりと高松に戻りました。

ゆったりと波に揺られていい気分。

 

アートの力、うーん、いいね。

HAPPY‼

港についたら、

そのまま高松空港にGO。

九州の唐津から始まった、

1週間にわたる長い旅がようやく終了。

飛行機で、羽田空港に帰着。

うーん。フルコースの旅でした。

さて、今週のレポートは以上です。

          

来週の水曜日は、

先日開催された、

「全国高等学校観光選手権」

のレポートをお届けします!

ご期待ください!!

四国旅日記(高知・徳島祖谷渓) 〔完結編〕

 

みなさん、こんにちは。

毎週水曜日更新の中村好明「観光立国見聞録」。

今週は、ばっちり、

予定どおり本日水曜日の投稿となりました!

 

さて、先週予告したとおり、

今回は、四国の旅の完結編。

 

徳島祖谷渓(いやだに)紀行の「後編」

お届けいたします。

この四国紀行末尾の香川県直島の

「瀬戸内国際芸術祭2016」レポートは、来週、

『番外編』としてお届けしますね。

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午後、アレックス・カーさんの

圧巻の篪庵(ちいおり)

(写真に写っているのは、書道をたしなむ同氏の書)

を訪問したあと、

 

私たち一行は、

同じくアレックスさんプロデュースの、

この日の宿、

「雲外(うんがい)

に向かいました。

 

この宿の他に、アレックスさんは、

三好市の「桃源郷祖谷の山里」プロジェクトの

プロデューサーとして

落合集落の中の6軒の古民家再生を

手掛けているとのこと。

 

「雲外(うんがい)もその中の1軒。

古民家が素敵にリノベーションされていました。

2014年5月にオープンした宿とのこと。

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まずは、

桃源郷祖谷の山里」茅葺民家ステイ受付事務所に

立ち寄って、チェックイン。

渋い、もともとは保育所だったところを、

ちょこっと改装して営業。

 

カウンターで宿泊費を支払って、

電子キーの番号を受け取ります。


TEL : 0883-88-2540
受付時間:9:00〜18:00(年中無休)
徳島県三好市東祖谷落合142(旧落合保育所

http://www.tougenkyo-iya.jp

 

自分たちで食材を買ってきて、

キッチンで自炊もできるし、

地元のお母さんが地元のおふくろの味の夕食を、

出張して一緒につくりに来てくれる

有償のプランもあったようですが、

 

今回の夕食は、

祖谷の郷土料理を重箱につめた

ケータリングを人数分事前に申し込みました。

 

事務所から、

スタッフさんが小さな車で先導して、

宿の「雲外」まで案内してくれます。

(もし先導が、なかったらたどり着けていないかも。)

 

「雲外(うんがい)は、

篪庵(ちいおり)のある

「釣井(つるい)」集落からは

かなり離れた別の「落合」という集落の山の中。

これもまた自分たちだけでは、

とてもたどり着けなさそうなくらいの

秘境の立地でした。

 

宿の外見は渋いけれど、

中は快適にリノベーションされていました。

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今風の、モダンなインテリアと、

伝統的なかやぶきの古民家のハイブリッド。

篪庵(ちいおり)とは全然違います。

外は祖谷渓の緑あふれる景観。

 

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このとおり、キッチンは今風。

このほかシャワールーム、

お風呂、お手洗いなどは、

今風の和モダンな感じ。

 

高級旅館のテイストも盛り込んであります。

床は床暖房も。

冬はいいのかも。

 

しかし、一緒に泊まった友人の一人は、

「やり過ぎですね。

 古民家らしさが

 むしろ損なわれる!」

ちょっと不満げで、厳しい意見。

 

なるほど、ね。

そういう意見もあるんですね。

 

さて、館内を友人たちと見て回っていたら、

先ほど先導していただいたスタッフさんが、

頼んであったケータリングの重箱を

届けに来てくれました!

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写真にはないけど、

この他にそばと、おにぎりとスープ。

なかなか贅沢。

たしか、一人4000円くらいだったかな。

ちなみに、宿泊費は一人

1万4000円(4名宿泊時)くらい。

 

買い込んで来た

ビールとワインと美味しい日本酒。

みんなでわいわい過ごしていたら、

あっという間に、

夜も更けてしまいました。

 

木製の押入れから

人数分の布団を出して、熟睡。

 

翌朝は、

雲が山間に立ち込め、

まさに「雲外」の気分。

昨夜のおにぎりとスープで簡単に済ませ、

さっそく出発。

 

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祖谷渓の二日目は、

レックス・カーさんらと共に

地域のインバウンド振興を手掛ける、

祖谷温泉ホテル社長

(ケーブルカーに乗って眼下の

 露天風呂に降りていく宿として有名!)、

でいらっしゃる

植田 佳宏(うえた よしひろ)さん

お会いしに行きました。

 

植田さんは

大歩危・祖谷いってみる会」会長、

「にし阿波観光圏のメンバーとして、

そして、

四国全体の地域連携の先頭に立っている方。

 

レックス・カーさんに、

祖谷渓でどなたに会えばいいですかと聞いたら、

真っ先にこの植田さんの

お名前を教えていただいたので、

アポイントを入れさせてもらい、訪問したのです。

 

 

とても気さくな方で、

いろいろな地域の課題と

可能性について詳しくご説明いただきました。

 

祖谷渓の魅力を堪能した後は、

 

香川県のさぬき市を経由して、

高松市に移動。

 

さぬき市では、

四国88か所のお遍路の88番札所。

大窪寺さん。

そして86番札所志度寺さんに参拝。

素晴らしい大伽藍でした。

お遍路の世界文化遺産登録運動も始まっています。

お遍路の文化は

日本のおもてなし文化の源流の一つです。

インバウンドのお客様は

これからという話も聞きましたが、

これからに期待できそうです。

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この日は、高松に宿泊。

香川の友人たちと楽しい交流会。

瀬戸内の海の幸を堪能。

 

そして、その日の翌日は、

「瀬戸内国際芸術祭2016」の視察のため、

「直島(なおしま)」に向かいました。

アートの力、アートの可能性を強く強く感じました!

 

そのレポートは

「四国紀行」〔番外編〕として、

来週水曜日にお届けします。

ご期待くださいませ。

 

〔番外編〕へ

四国旅日記(高知・徳島祖谷渓・香川直島) 〔後編〕

みなさん、こんにちは。

                                              

毎週水曜日更新の中村好明「観光立国見聞録」。

今週も、お盆休みの都合により、

本日木曜日の投稿になりました!恐縮です。

 

さて、先週予告したとおり今週は、

高知での講演の翌朝出向いた、

徳島祖谷渓(いやだに)紀行

レポートします!

 

高知駅を後にして、

一路祖谷渓の玄関口、

大歩危駅」まで特急でなんと1時間ちょっと。

思いがけずハイスピードなJR四国の特急。

あれよあれよという間に、

景色は、深い山の緑の中に。

 

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なんと、降り立ったこの特急停車駅も、無人駅

 

ところが、この駅には管理を受け持っている

地元のパワフルなおばちゃまが、常駐。

ガイドを兼ねていて、

欧米人にも英語で応対していました。

(洋画や海外ドラマをみて我流独学で英語を覚えたそうです。凄い。)

 

もはや、無人駅とはいえないかも。

駅に何だか不思議な活気がありました。

 

7/20に投稿した、

新潟の旅の報告の際に

皆さんに提案したことですが、

無人駅は、カフェなどの

何らかの付加価値をつけて有人化することで、

地域の交流広場になりえます。

複合施設化が無理でも、

こうした常駐のシルバー人材活用は

一つの先進事例となりうるのでは、と思いました。

 

さて、この大歩危駅で、

地元四国の友人と待ち合わせして、

車で大歩危小歩危エリアの大探索。

 

最初は、この小便小僧の像を訪問。

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なんと、峡谷に突き出た岩の突端に鎮座していました。

拍子抜けするほどの小さい像でしたが、

不思議な魅力がありました。

谷底まで200mの高さがあるそうです。

このスポットには、

定期観光バスまで立ち寄るのだそうです。

 

 

さて、この後はさっそく地元の美味しい昼食。

そば処・祖谷 美人」で名物のそばと、

同じく名物のあめご(あゆよりちょっと大きい川魚)の定食をいただきました。

 

店内では、いい具合に川魚があぶられていました。

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そして、渓谷を見下ろすテラスで楽しく友人たちと食事。

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そばも、あめごも、ぺろり。ああ、美味しかった!!

 

食事のあとは、

かずら橋(国指定重要有形民俗文化財)。

これが、祖谷渓のメインディッシュ。

〔でも、我々にとっては、

 アレックス・カーさんプロデュースの

  篪庵(ちいおり)が

  メインディッシュなので、ここは前菜。〕

 

頑丈なかずらは、まるでワイヤロープ。

シラクチカズラ(重さ約5トン)で作られたもので、

長さ45m・幅2m・水面上14mとのこと。

昔は祖谷渓谷地帯で

唯一の交通施設であったそうです。

なんと3年毎に架替えが行われているようです。

 

わたってみると、

ゆさゆさ揺れて、これが案外怖い。

こんな山奥にも訪日客がわんさかいらっしゃって、

ちょっとびっくり。

香港人の若い二人の男の子が

橋に寝そべって写真を撮っていました。

彼らをまたいで通ったら、

「どうぞ!」と日本語で、

笑顔で声をかけてきました。

 

みんな楽しそう。

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かずら橋を渡った後は、今日のメイン。

レックス・カーさんプロデュースの篪庵(ちいおり)

さんざん狭い山道を道に迷いながら、現地に到着。

40年も前、まだ彼が学生だったころに購入した古民家。

よくこんな山里の古い家屋を買って、

手を入れようと思ったなあと、

まさに唖然とするくらい不便なところにありました。

 

小さな看板が

篪庵(ちいおり)の入り口に立ててありました。

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ここからさらに数分、

谷を降りていったところに、

素敵な建物が建っていました。

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事前に、案内をお願いしていたので、

隣接する管理施設(ちいおりトラスト)の

スタッフさんに、

丁寧に屋内をご案内・説明していただけました。

 

レックスさんのこだわりが凝縮した空間でした。

本当はここに泊まりたかったのですが、

すでに予約でいっぱい。

宿泊客がチェックインされる前の時間に

見学させてもらったのです。

 

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レックスさんが初めて祖谷を訪れたのは

1971年の夏のことだったそうです。

 

その翌年の1972年秋、

レックスさんは

四国中の数百軒の民家を訪れた後、

ここ釣井集落にある一件の空家を見つけ、

1973年6月に購入したのだそうです。

 

それが、まさに

篪庵(ちいおり)だったのです

カーさんがフルートを吹くことから

「笛の家」という意味で名付けられたんだそうです。

 

彼が購入を決めたときには、

すでに空き家になって17年が過ぎていたそうです。

そして、築300年を超えていたのです。

 

その後、たくさん手を入れて、

今のようなまさに芸術的な空間へと

磨かれたわけなのだなと、

しばし感慨にふけりました。

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まだ、日本中で、

古民家の価値を見出している人など

ほとんどいない時期です。

いまでこそ、

全国各地で古民家の宿が

ブームになってきていますが、

そのムーブメントの源流の一つになっているのが、

この篪庵(ちいおり)なわけです。

 

 

しばし、時を忘れて、

庵の内外の魅力に引き込まれました。

 

この後は、同じくアレックス・カーさんが、

この祖谷渓でプロデュースした

「雲外(うんがい)」

という古民家に泊まります。

 

この続きは、次週〔完結編〕でお届けします。

 

来週は、水曜日に更新します。

ご期待くださいませ。

 

〔完結編へ〕

四国旅日記(高知・徳島祖谷渓・香川直島)〔前編〕

みなさん、こんにちは。

                                              

毎週水曜日更新の中村好明「観光立国見聞録」。

今週だけは、恐縮ながらお盆休みの都合により、本日木曜日の投稿になりました!

 

さて今週は、先月末からこの8月初頭まで旅してきた四国の旅日記をお届けします。

 

 

先週お届けした、故郷唐津の旅から、私はそのまま筑肥線に乗って、 

福岡空港に向かいました。

列車の車窓からは美しい玄界灘の海がずっと眺めていられます。

 

そして、驚くべきことに、自然と歴史のまち唐津駅から福岡空港は 

何と乗り換えなしで直結しているのです

 

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福岡空港から、飛行機で高知空港にひとっ跳び。

離陸したかなと思ったらもうすぐに着陸。

あっという間に四国土佐の國に到着。

 

 

 

初日は、そのままチェックインして熟睡。いや爆睡。

 

二日目の昼は、高知市内で講演。熱気あふれる会場には、

高知県内の官民の多数の名士の方々。

愛媛や徳島からもはるばる聞きに来ていただいていました。

 

オーディエンスの皆さんのクラス、

すなわち反応の質の高さが、講演する側の出来栄えの質を決めるものだと

いつも痛感していましたが、高知は志国。

 

案の定、お陰様で心地よく講演ができました。

そして、高知のインバウンドの未来について

情熱をこめて私の考えを伝えることができました。

 

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講演会の後は、ニッポンの未来を切り拓くために命を懸けて闘った幕末の英雄、

坂本竜馬の生誕地に立ち寄り、写真を撮りました。

 

若いころ夢中になって読んだ司馬遼太郎の『竜馬がゆく』の印象が甦りました。

改めて、観光立国革命の志士として、私も非力ながら頑張ろう!

とこの場所でひそかに決意しました。感無量でした!

 

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そして、そのまま徒歩で、高知城に足を運びました。

高知城は本丸の建造物が完全に残る唯一の城として知られています。

 

国の重要文化財(県管理)。

天守に加えて、御殿・追手門など全15棟もの建造物が現存しているとのこと。

 

お城マニアというほどではないものの、

せっかくお城のある地方都市に講演等に行く際、

お城を見ないで帰るといのは、もったいない。

 

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天守閣は、市内のいたるところから眺めることができました。

ということは、天守閣に登れば、市内中が眺められるということ。

 

真夏の炎天下、最上階まで登りました。

展望フロアには、何と日系アメリカ人の教育旅行のLAから来た学生諸君で

ごったがえしていました。

インバウンドの訪日客で溢れていたのです。

 

ところが、城内の展示物や各所にほとんど英語の表記はほぼゼロ

 

うーん、もったいない。

 

せっかく彼らのルーツ日本を知るチャンスなのに!!

県庁の皆さん、この件、よろしくお願いしますね!!

 

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お城視察の後は、地元の有志の方々と美味しい・楽しい交流会。

 

その交流会の後、ホテルに戻る途中で、不思議な光景に遭遇しました。

この8月9日~12日に開催された「第63よさこい祭りの練習風景だったのです。

 

まさに、最終仕上げの真っただ中だったのですね。

(本番も観たかったなあ!)

 

夜になっても暑い中、出演者の皆さんが汗だくになって、

商店街の中で練習している風景はなかなか見れないものでした。

 

土佐のすばらしさの舞台裏を垣間見れることができてとてもよかったです。

 

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今週の報告は以上です。

 

来週は、この翌朝出向いた、徳島祖谷渓(いやだに)紀行をレポートします! 

レックス・カーさんがプロデュースした篪庵(ちいおり)の空間は圧巻でした。

 

よろしくお願いいたします!

 

〔後編へ〕